ささやかな願い

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*―*―*―* もうそろそろ日が陰る頃。 少しずつだが、図書室の窓からも夕日のオレンジ色が差し込み始めていた。 ぎぃ… 重い扉を開ける音とともに、三人の男女が入って来た。 国を治める大臣の一人娘に、四大公爵家嫡子とその従者。 その肩書きだけ見るとなんと豪華な面子か。 「あれぇ?人いなさそうじゃない?」 我先にと入って来たレイラが、キョロキョロと室内を見回して言う。 まあ事実、ここまで広い図書室をそれぐらいで全て確認出来るかは疑問だが。 「……みたいだな。」 続いて入って来たエリオットも同じように見回すだけ。 扉の前で立ち止まったままの二人の横をすり抜けて、さすがリーオ、図書室の奥まで入って行く。 すると。 「二人ともどこ見てるんだか。」 本棚の陰からリーオがひょこっと顔を出した。 どうやら誰かしらの手を掴んでいるよう。 エリオットとレイラがそこまで行くと、いじけたようにそっぽを向くレンがいた。 「…何?」 三人から顔を背けたまま全く目を合わせようとしないレン。 そんな彼女にやんわりとリーオが返事をする。 .
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