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もうそろそろ日が陰る頃。
少しずつだが、図書室の窓からも夕日のオレンジ色が差し込み始めていた。
ぎぃ…
重い扉を開ける音とともに、三人の男女が入って来た。
国を治める大臣の一人娘に、四大公爵家嫡子とその従者。
その肩書きだけ見るとなんと豪華な面子か。
「あれぇ?人いなさそうじゃない?」
我先にと入って来たレイラが、キョロキョロと室内を見回して言う。
まあ事実、ここまで広い図書室をそれぐらいで全て確認出来るかは疑問だが。
「……みたいだな。」
続いて入って来たエリオットも同じように見回すだけ。
扉の前で立ち止まったままの二人の横をすり抜けて、さすがリーオ、図書室の奥まで入って行く。
すると。
「二人ともどこ見てるんだか。」
本棚の陰からリーオがひょこっと顔を出した。
どうやら誰かしらの手を掴んでいるよう。
エリオットとレイラがそこまで行くと、いじけたようにそっぽを向くレンがいた。
「…何?」
三人から顔を背けたまま全く目を合わせようとしないレン。
そんな彼女にやんわりとリーオが返事をする。
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