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「いやね、レンが自分を避けてるってエリオットが言うもんだからさ。」
「別にそういうわけじゃ……」
「じゃあどういうことだ?」
先程からいつもの調子で話すリーオに対して、エリオットがレンの様子に明らかに苛立ったように詰め寄る。
「さっきから目合わせようとしねぇじゃねーか。」
「……………」
ちっ
小さな舌打ちが聞こえたかと思うと、ついに何も言うつもりがない雰囲気のレンの腕を引き、こっちを向かせたエリオット。
だが彼女の表情を見た瞬間、ぎょっとしたように目を丸くした。
行動が停止したエリオットを不審に思ったのか、後ろにいたレイラが彼を押しのけてレンを覗く。
「ちょっと!何泣きそうになってんの!」
そして彼女の今にも泣きそうな顔を見て、驚いたように叫んだ。
「レイラ……」
レンはそう呟くと、心を許す女友達であるレイラに抱き着く。
いつもは冷静でこんなに感情的ではないレンに対し、落ち着かせるように彼女の頭を撫でるレイラ。
しばらくそうしていたあと、レンは大分落ち着き、顔を上げてエリオットを見る。
「……聞いたんでしょう、エリオット。」
「……ああ。」
「いきなりだったのよ。別に隠してたわけじゃ」
「わかってる。」
さっきとは違う、優しさが含まれた言葉。
エリオットがしっかりレンを見つめるので、ふとレンは目をそらした。
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