背負うもの

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「おーい、早く荷物まとめろよー」 「ちょっと!ここは怪我人の部屋よ!静かにしな!」 「わあ!?ゴキブリ出たっ!」 まあまあなんと騒がしい対アクマ軍事機関 黒の教団。 先日のルル=ベルの襲撃により相当壊れた教団は、新しい場所に移るための準備で慌ただしかった。 そんな中、ちらほらと誰かを探すような声が響く。 「蓮がいない!?」 声が聞こえるのはどうやら医務室のよう。 ちょうど白い団服を着た中国顔の青年―コムイが、でかい声を出したせいで婦長に耳を引っ張られて出てきていた。 「もう!室長ともあろう人が医務室で大きな声を出すなんて!」 「痛い痛い痛い!ごめんってば婦長さん!」 まさかあれが教団を統べる室長とは思えない光景。 だが、襲撃で大怪我を負っていたエクソシストがいなくなったとするなら、慌てるのも無理はなかった。 「いつからいないんだい!?」 「それが、いきなり出て行こうとするから、どこに行くのか聞いたらお手洗いだって。でも帰って来ないんですよ。」 どこに行ったのかしら、と心配そうにキョロキョロする婦長に、もう落ち着いてられないコムイ。 さすがエクソシスト想いの室長である。 .
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