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「何するんさユウ!蓮が大変なときにオレがいかねえと…!」
「ラビ!」
神田の腕を振り払い、普段の彼からは想像出来ないような目で神田を睨むラビに、思わずコムイが声を上げる。
「君はここにいてくれ……!」
コムイの悲痛な声。
蓮とはアジア支部にいた頃からの幼なじみである神田と、彼女を二人目の妹のように可愛がっていたコムイ。
二人には蓮が今どういう状況であることは想像出来ていた。
そして、その場に恋人のラビが行くことでどうなるかも。
「お前はここで蓮の帰りを待ってやれ。」
そう短く告げ、神田は俯くラビを横目に室長室を出た。
******
ヴァチカン東部の村、シセン。
蓮が任務のため向かった小さな村であり、そして、今は先程までの戦闘などなかったかのように静まりかえった中、微かな呼吸だけが響いていた。
「っ…………、は………はっ……………」
他の所以上に大きなクレーターの真ん中に倒れ込む人影。
さっきの一瞬の光を発動させた蓮が、満身創痍で倒れていた。
ザッ
ふと、自分の前に人の気配を感じ、蓮は顔を上げる。
「……ラビ?」
小さくそう呟くも、蓮の目に入ってきたのは蓮と同じ黒髪の彼。
思わず恋人である赤髪の方を口にしてしまったことに、蓮はこの状況にも関わらずバツが悪そうに苦笑いする。
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