いつまでも君を想う

10/13

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「なんだ……ユウ、か…」 「悪かったな、バカ兎じゃなくて。」 神田が、蓮の側に片膝をついてしゃがみこむ。 彼の皮肉とも取れる言葉に、蓮はつい一時間前に見たラビの笑顔を思い浮かべ、弱く笑う。 「いいよ……今の私見たら、どうなることか……」 そう笑いながら言う蓮に、これから死にゆく恐怖はないよう。 神田は周りを見渡し唇をかみしめながら問う。 「なんで【薔薇ノ終焉(ローズ・エンド)】なんて使ったんだよ…」 「…やばかったんだもん……死ぬなら最後までエクソシストらしく、さ。」 【薔薇ノ終焉(ローズ・エンド)】。 蓮のイノセンス【薔薇ノ女神(ローズ・アルテミス)】の最大限解放であり、適合者の命を引き換えにする禁忌。 それを、蓮はエクソシストである自分の意志で、発動させた。 少しずつ、蓮の息が荒くなっていく。 「……そろそろか?」 「ん………」 蓮の様子に静かに神田が問いかける。 蓮は小さく相槌をうちつつ、顔を上げてしっかりと神田と目線を合わした。 「ユウ、今までありがとう。コムイとか教団のみんなにもよろしくね。あと、」 はあ、と一息ついて、蓮は続ける。 「ラビにはずっと愛してるって伝えて。絶対によ?またいつか会えるって………」 その言葉を最後に蓮の目が閉じられる。 微かな呼吸音も消え、まるで眠っているかのような安らかな顔。 神田は自分の羽交いなさに悔しそうに顔を歪ませ、だが優しい手つきで蓮の頭を撫でた。 .
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加