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そのまま蓮が何か言うのかと思いきや……
誰が見ているともないのに真っ赤な髪をたなびかせ、格好つけて近付いてくるラビなんて見なかったかのように、顔を元の方に向けた。
「ええっ!?」
予想に反した行動に、ラビが大袈裟にずっこける。
意味不明な彼を冷ややかな目で見つつ、
「…何してんの」
と、一言。
何かしら不機嫌なようである。
些細な雰囲気からそれを察したラビは、小さくため息をついて、蓮の横に座り込んだ。
「どうしたんさ、蓮?」
おおよそ予想はついているが、あえて聞くラビ。
「ん……景色…見てた」
「うん、」
「ここに来れば、ヴァチカンの市街が臨める。私はこの街に住む全員の命を背負ってるんだって…再確認できる…」
蓮はたまに戦闘に負けると、こうやって自分を立ち上がらせる。
それを、ラビは知っていた。
「はあ……こんなこと、してる場合じゃないのに…」
今回のレベル4との戦闘、さすが教団トップの蓮は全く相手に引けをとらなかった。
だが事実、死傷者が大勢出たことを、自分が護れなかったと責めているのだろう。
「蓮、」
今まで彼女の言葉を静かに聞いていたラビが口を開いた。
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