バカな小競り合い

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「あっぶねぇな。俺の眼球潰すつもり…」 「あげる。」 尖ったものを渡すときは尖端を自分の方へ向けて渡す、というのは常識。 それを何の前触れも無しに突き付けてきた蓮を沖田が怪訝そうに見やれば、拍子抜けするほど綺麗な笑みを浮かべてそう言われた。 「……いらないの?」 蓮の方も、そう言って動きを止めた彼を訝しげに覗きこむ。 その言葉に、蓮の笑みに意識を奪われていた沖田は我に返り、少し赤い顔を隠すようにそっぽを向いて串を受け取った。 「…油断できないねィ」 「え?」 「いや、何も。」 ボソッと呟いた言葉を団子と一緒に胃へ送り、残った串を皿に戻した。 そして両手を頭に回して壁に寄っ掛かると、横目で蓮を盗み見る。 彼女との付き合いはもうかれこれ10年以上になる。 なんでも、隣に住んでいた彼女の両親が死に、それを不憫に思った姉のミツバが彼女を引き取ったらしい。 物心ついたときから隣にいた存在だった。 そして成長するにつれて不覚にも彼女に惚れ込んでしまった。 今や沖田が蓮にぞっこんなのは周知の事実である。 「あ、総悟。抹茶もいる? 大分冷めたよ?」 そう言ってこっちを振り向くので、沖田は慌てて彼女から目を反らす。 差し出されたお椀を受け取り口に含めば、成る程、丁度いい温度の抹茶が喉を流れた。 普段はドS同士嫌みを言い合っているが、突拍子もなくこういう気を利かすので困る。 はぁ、と小さく息をつき、手持ちぶさたに店内を見回している蓮の名を呼んだ。 .
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