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ある朝。
自室で寝ていたモモは、窓から差し込む太陽の光の眩しさに目を覚ました。
あんまり朝は強くない。
確か今日は非番(多分)なので、すぐ起きる必要もなく、モモは布団にくるまったままもう一度寝にかかる。
だが、そんな彼女の眠気を遮るようにばーんと部屋のドアが開かれた。
「おいモモ!」
そう叫んで、ノックもなしに無遠慮に入ってきたのは赤髪の青年。
そちらを振り向かずとも、それが誰かなんてすぐ分かる。
しかしその無遠慮さは、今低血圧の彼女にとっては琴線に触れたようで。
「………………なに?」
負のオーラを纏わせながら首だけ動かしてそっちを見やれば、そこには案の定、彼女の恋人であるウォルターがいた。
彼はモモの苛々には気にも止めず、ずかずかと部屋に侵入してベッドに近づく。
「モモちょっといいか?」
「いや。」
「即決かよ。ちょい、結構大事なことだから起きろっつの。」
そう言って、ウォルターはモモが咄嗟に頭から被った布団をはがしにかかる。
が、モモはモモで布団を剥がされまいと必死に抵抗。
「朝っぱらから大事なことなんて持ち込まないで。」
「朝っぱらって。もう11時だぞ!」
「いーやーだーー」
断固として布団を離そうとしないモモに、ウォルターは小さくため息をつく。
そして一度手を離して何かを考えたかと思うと、がしっと布団ごと蓮を抱き抱えた。
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