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「え……!」
毛布にくるまれているせいで周りが確認できないが、モモは自分の体がふわっと浮いたような感覚に戸惑いの声をあげる。
もぞもぞと布団から這い出し、顔だけ覗かせれば、今度は唖然とする番。
「ちょっと! ウォルター何してるわけ!?」
「モモお前、布団と合わせてこの軽さなんてちゃんと飯食ってんのか?」
「疑問を疑問で返すな!! ってほんとにどこ連れてく気よ!」
手足をばたばた動かしての彼女の抵抗など彼にとっては無意味のようで。
彼は歩みを止めることなく部屋を出て、無言で廊下を突き進む。
ちょうどすれ違ったアンディが何事かとギョッとするも気にしない。
「あ、アンディ! ちょっとこいつ止めてよ!」
「嫌だね。けど、面白そうだから着いていくよ。」
「それこそいらないわ!」
いつも通りの死んだような目で言われると、バカにされてるようで一段とムカつく。
――これはもうどうにもならない。
もはや誰も助けてくれそうにないので、諦めてくたっとウォルターに体を預けると。
何かよくわからないが、ウォルターの彼女を抱える手に力がこもった、気がした。
「…ウォルター?」
不思議に思いウォルターの顔を見上げたとき、ちょうど彼の歩みが止まる。
はっとして視線を前に向ければ、そこは実質彼らRedRavenをまとめあげる、裁判官カルロ=スカルラッティの部屋の前だった。
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