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「俺が、お前を嫁にしたいってこと。」
ウォルターが改めてそう言った数秒後、モモの顔が一気に赤くなる。
こんな前触れもなく言われては、恥ずかしくて仕方ない。
………大体、二人の間でこんな話はされてもいないのだ。
「ときにウォルター。 何故その了承を私に得ようとするんだ?」
笑みは崩さずに首を傾げるカルロに、ウォルターはモモの手をぎゅっと握り直しながら向き直る。
「だってさ。 モモはお前が育てたようなもんなんだろ? それならちゃんとけじめはつけるべきだし。」
確かに、モモは幼い頃捨てられていたところをカルロに助けられた。
勿論、カルロとモモは親子程も年は離れてなかったが、それからはカルロがモモを妹のように育ててきたのだ。
ウォルターにしてみれば、これは普通でいう相手側の両親への挨拶にあたるのだろうが……
それにしても唐突すぎて頭がついていかない。
わけがわからなくなって、モモはテンパりながらしがみつくようにウォルターを見上げる。
「ちょっと…… いきなりそんなこと言われても…!」
「……俺じゃ嫌か?」
「っ………」
ふっと笑みを浮かべてそう言うウォルター。
これじゃ勝てるわけがない。
「…嫌、じゃない、けど…」
「けど?」
「………ウォルターは、私なんかでいいの…?」
顔を真っ赤にして、しどろもどろにモモが言った言葉に、ウォルターは目を丸くする。
そして数秒後、ウォルターがふ、と目を細めて笑ったかと思うと、モモはぎゅうっと力強く抱き締められた。
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