ある赤鴉の決心

7/8
前へ
/68ページ
次へ
そう言ってにっと笑うウォルターに、カルロは髪をがしがしかいて小さくため息をつく。 そして一度モモを見たあと、再度ウォルターを見直した。 「………可愛い妹がいいと言っていることに、反対する理由があると思うか?」 カルロもウォルターも、お互いの視線を外すことは全くなく、部屋の中はしんと静まりかえっていた。 一息ついて、カルロが続ける。 「モモを、よろしく頼むぞ。ウォルター。」 「…もちろんだ。」 カルロの言葉に、ウォルターは先程の冗談めいた笑みはなく、真剣に、そして静かに一言告げる。 その一連の誓約が終わったことで、やっと、モモは笑うことができた。 「………ありがとう、兄さん。」 無意識に、そう呟いていた。 カルロは彼女の言葉に驚いたように目を丸くしたが、モモの心底嬉しそうな笑みに頬を緩める。 「兄さん、か。その呼び方も悪くないな。」 「…うん。ほんとに、育ててくれてありがとう。」 そう言って、モモは深く頭を下げた。 そして顔を戻してカルロの笑みを確認してから、ウォルターに向き直り、背伸びをしてぎゅっと抱き着いた。 それを受け止めるように、ウォルターがしっかり抱き締める。 「改めて、今日からよろしく、ウォルター。」 「………ああ、可愛いお姫さん。」 Fin.... (あ、そういえば。) (?) (俺も兄さんて呼んでいいか?) (…なんかムカつくから駄目だ。) →あとがき
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加