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「・・・・・・ろ。・・・・・・きろ。起きろ、このバカ龍二!」
「誰がバカだコラぁ!」
泰平の怒声に近い声で龍二はすっきり眼覚めた。太陽が眩しかった。
バカにされた怒りの最中(さなか)、右手が何かに触れている感覚があったので、そこに眼をやると、彼が手を触れていたのは進藤家の家宝・龍爪であった。そこから眼を四方にやると、周囲は荒れ果てた大地に、所々に枯木が生えていたり石が転がっているだけの、砂漠みたいだった。
「ねぇ、アンタも『四聖』の誰かと会ったんでしょ?」
達子の突然の問いに、龍二は思わず
「ふぇ!?」
というすっとんきょうに間抜けな声をあげてしまった。
「何すっとんきょーな声出してんのよ。あたしらだって『四聖』に会ったんだからね。聞いて当然でしょ?」
(あぁ・・・・・・そういやぁ、んな事青龍が言ってたっけ)
と思い返し
「あぁ、会ったよ。『青龍』ってんだ。龍爪(コイツ)に宿ってんだってさ」
龍爪を指しながら龍二は告げた。
『よぉ、お主ら、元気そうじゃの』
突然龍爪から青龍の声が聞こえてきた為、龍二はびっくりしてその勢いで龍爪を投げてしまった。
『誰が己の武器を手離す者がおるか、馬鹿者がっ』
青龍が龍爪の中から叱り飛ばした。それを見ていた三人はゲラゲラと笑う。
青龍が叱っている時に、彼が宿っている龍爪がまるで生きているように跳ねていたのは皆スルーした。
『うん。元気だよ。青龍』
『・・・・・・先程会ったがな』
泰平らの武器からも、龍爪同様声が聞こえた為、龍二は眼をぱちくりさせている。
どうやらその声の主が先程青龍が言っていた残りの『四聖』という者達のようだ。
『たっちゃん、アンタもさっきあの子と全くおんなじ反応したんだから、人のこと言えないでしょ。ほら、とっととあたしを紹介するっ』
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