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「さて・・・・・・皆さん。とりあえず、どこか町へ行きましょうか・・・・・・んふふふ」
──今逆らえば確実に殺られる。
三人の第六感が緊急警報(スクランブル)をやかましく告げていた。それも今までの比ではない。般若を伴わせたその極上の笑顔は漆黒に染まっていて、暗黒などは逃げそうなくらい不気味そのものだった。
「どうしました?・・・・・・さあ早く」
今の龍二らは安徳に逆らう気は更々ない。むしろ、わざわざ今の彼に逆らって死ぬ気は毛頭ないと言った方が正確なのかもしれない。
(どうか、あいつの狂喜が起こらずこのまま何事もありませんよーにっ!)
既に三人の心の中にはひとかどならない不安が抱かれていた。彼の凶行が起これば一体どんな悲劇が起こるか想像するに難(かた)くない。
後ろの三人の思いなど露知らず
「さて・・・・・・獲物はどこですかな・・・・・・んふふふ」
安徳は獣の如き瞳で辺りを見回しながら、獲物を探して町へ適当に進んでいった。
(着いて早々、一波乱がありそうじゃな・・・・・・・・・)
龍爪の中に宿る青龍はやれやれとため息をついて彼らの行く末を案じずにはいられなかった。
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