572人が本棚に入れています
本棚に追加
その後も、青龍があれこれと簡単にこれから行く世界についてや自分の能力やらを解説してくれている中、龍二はじっと青龍を見ていた。
青眼青髪。いや、蒼眼蒼髪の方が相応しいかもしれない。顔立ちから自分より年上だろう。後々で考えれば自分の先祖と言われている趙雲子龍の頃から仕えているそうだから当たり前の話だった。話し方はなんかジジクサイが、その身体からは常人なら触れただけで気絶しそうな覇気を放っているようで、その強さは容易に想像できた。
青龍の話を聞いてほんの少し思い出したが、父・龍造の話では、確か青龍は『蒼炎』という蒼き炎を使うとか言っていた。
「なあ青龍。アンタ、さっきある男を討てって言ったよな?・・・・・・ってことは、それまでに何人か人を殺すことになるのか?」
龍二は青龍が話しているのを遮ってそう訊いた。
「そうなるが・・・・・・嫌か?」
「いや・・・・・・・・・」
嫌かと聞かれれば正直嫌だ。今にしてもそうだが、人殺しなどはおよそ自分達の世界では常識的に考えられないことだ。
「嫌なら今ここでそう言え。戦闘になったら、わしがお主の身体を借りて戦ってやる?」
青龍は龍二にそう提案した。その提案は確かに嬉しい。自分の知らないところで済むならそれに越したことはない。だがしかし・・・・・・・・・。
暫く考えた後、龍二は彼の提案を拒否した。
「いや、それはいいや。あのふざけた白髪野郎がよく分かんねぇけど俺達に助け求めてきたんだろ?だったら俺らがそれやらなくちゃならねぇんじゃねぇか?それに、ここでの経験がもしかしたら俺達の世界でも役立つかもしれねぇし」
そう言って、龍二は少し笑っていた。
それを見た青龍は心底嬉しそうであった。
(ふん、血は争えんな。あの者達らによう似ておるわ)
最初のコメントを投稿しよう!