第一章

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そう聞くと、カイルとルーティは顔を俯かせた。 「ま…別に言いたくないなら、あー…言う必要は、ない。」 俺がそういうとカイルは少し顔をあげて 「うん…とりあえず、帰りたくねえんだ。」 と言ったが、なんとかしなくちゃいけない。面倒ごとになるのはゴメンだが、俺だって今の状況にはゴメンだった。 「そうはいってもなあ…お前ら、家はどこだ。」 俺が聞くとカイルが少し目を見開いてびっくりしたようにして口を開いた。 「おじさんちの三つ横…だよ?」 気付かなかった。近所なのか。 いや、元々そんなものだ。 となりなんか気にしていられない。 「ああ、そうなのか、知らなかったな。それと呼び方はホークにしてくれ。その…慣れてないんだ。」 俺は名前以外で呼ばれることはあまり慣れていない。 だから、俺は誰でも名前で呼ばせることにしている。たとえ子供であっても。 「OK。ホーク。今日泊めてくれよ。」 泊める? 俺は思わず眉をあげた。 「おいおい、泊めるだって?家はすぐそこだろう?夜になったらここを出ていけよ。いいな?」 俺はオレンジジュースを飲みながら、あまり目を合わせずぶっきらぼうに言った。 すると妹のルーティが泣き始めた。
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