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目を覚ましゆっくり瞼を開ける。
まだ辺りは薄暗く、身を捻り時間を見ようとサイドテーブルに目を移した。
ツツーっと頬を滴が伝う。指先でソッとそれを拭う。
「ダサ…」
呟いて枕に突っ伏した。
「……クソ…なんだっつうの…」
枕の一点だけが妙に冷たい──涙のあと、だった。─────
仰向けになり両の手で顔を擦り息を吐く。
気を取り直し時間を見た。
午前五時を過ぎたところ。
リアルだった。リアル過ぎた。
夢で良かった。心底そう思った。
将太郎を失うなど考えられない。現実ならば俺は生きていけない。
たかが恋などというものでは治まり切れないこの想い。
想い想われる現を知った今は、
失う苦痛が怖い。
俺が共に在りたいと願うのは将太郎ただ一人。
一人では生きていけない、
二人がいい。将太郎がいい。
将太郎でなければならない。
共に老い、死んでも尚、共に在りたい。
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