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起きる時間には早すぎる。
されど泣いて目覚めさせた夢は、二度寝する気すら起こさせない。
「シャワーでも浴びるか…」
熱い湯が鬱な気分を洗い流してくれるだろう。
そう期待して怠惰にベッドから這い出してバスルームへ重い足を引き摺って行く─────
将太郎が大阪支社に移動になって一年が過ぎた。
離れて暮らすなんて考えられなくて身の自由が利く俺も一緒に行く手筈になっていた。
絵はどこでも描ける。
そう言って背を押してくれたのは師である鳴海達彦。
将太郎と想いが通じるずっと以前に関係があった男の内の一人
今は師弟という間柄をきちんと貫いてくれる律儀な男
初めて鳴海達彦の絵を見た時、ガキだった俺でも圧倒され彼の絵に惹かれた。
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