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俺は誉められて伸びる子だったらしい。鳴海達彦はいつも俺の絵を誉めた。
照れ臭くなるほどに。
弟子でありながら弟子らしくない扱いで鳴海達彦は俺を甘やかした。
調子に乗った俺は大学の理工学部を卒業してから美大に再入学するという暴挙(?)に出た。
鳴海達彦に進められたからというのもあるが、絵を描くことが好きだったというのが大きな理由だ。
突き詰めて見たい、俺の意思だった。
そのことを将太郎や両親に話した時は、絵は趣味だと思っていた三人は最初は驚いていた。
が、最終的には応援すると言ってくれた。
将太郎は、まあ、微妙な感じだったけど。
絵を描くことには理解を示しているが師である鳴海達彦が引っ掛かっているように見えた。
そういう関係だったと言ったことはないが、薄々気付いていたんだろう。
将太郎の胸の内は分からない。
けれど、将太郎の中でどう決着を着けたのか、納得はしたようだった。
俺は将太郎にも甘やかされているようだ。
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