俺のクソババァ

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あれから二年。 ババァと過ごした家を引っ越した俺は、付き合っていた彼女と結婚した。 今年の夏には子供が生まれる。 それまでには、古くくたびれたババァの家を取り壊し、家を建てるつもりだ。 『ちょっと、これはどうする?』 「無理すんなよ。お腹の子に悪いぞ」 桜舞う季節の中、俺達は休日を利用し、取り壊す家を掃除しに来ていた。 当時は辛かったこの場所が、今は愛おしく感じる。 あの桶も、中華包丁さえも。 なんだこれ……。 ババァの仏壇を整理していると、高級煎餅が入っていたであろう缶の箱が出てきた。 "和陽へ" と、書いてある。 蓋を開けると何かが紫色の風呂敷に包まれていた。その上には手紙が。 風呂敷を開けると、中には札束がいくつも入っていた。 慌てて手紙を開封し、目を通す。
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