84人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
辺りが暗くなった頃には、バーベキューは終了し帰りの身支度も完了していた。
最後に花火をあげてから帰るという趣向だ。
中々夏らしいじゃないか。
私は料理の手配はしていたが、花火に関してはノータッチだった。
三バカトリオが車から降ろしてきたのは大量の花火。
人数に対して数倍はあるであろうことが一瞬にしてわかった。
「お前らそれどうすんだ……」
『大丈夫っす』
何が大丈夫なのか、まったく意味が分からないがせっせと設置し始めた三人。
「いきますよ~!」
次々と上がる市販の打上花火を皮切りに、ネズミ花火や煙玉といったネタ花火やらお約束のロケット花火まで。
深い闇に様々な花火が色を塗っていく。
――非日常の締めくくりには最高の演出だ。
最後はしんみりと線香花火で締め、車に乗る一同。
行きは運転したが酒をたらふく飲んだため私は一番後ろのシートに座った。
来年も……いや、今年中にもう二回は行けるな、などと思っていたその時、
ガクンッという振動と共に車が止まった。
様子を見に降りて行った部下達。
「ボスさんっ、やばいっす。スタックしちゃいました!」
なんと、砂浜にタイヤがとられてしまっていたのだ。
エンジンをふかしタイヤを回すも空回り。
一生懸命どうにかしようとしている一同。
私は車内のシートに横たわり瞳を閉じた。
今しばらく、この"非日常"は続きそうだな。
おわり
2012.07.10
Lento.
最初のコメントを投稿しよう!