84人が本棚に入れています
本棚に追加
私は携帯を閉じた。
両手に持つ、それぞれのの携帯には二人の想い出がたくさん詰まっていた。
二人がどれだけ愛し合い、どれだけ私を愛してくれたのか、言葉には出来ないけれど十分に感じる。
私の心には二人の恋が今でも生きていた。
「それは御棺に入れちゃ駄目だよ」
「うん。わかってる」
「でも、お義母さんもお義父さんも本当に仲がよかったね」
「良すぎよ。死ぬ時まで同じ日にすることないじゃない」
父と母は、同じ月、同じ日、同じ朝。
二人仲良く布団に入り、眠る様に旅立っていった。
私の心には、二人の愛が響いている。
それはきっと、永遠に……。
「ねぇ……」
「ん? どうした、ミウ」
私は彼の手をそっと握った。
「私達もこんな風に……」
彼はにっこりとほほ笑んで、私の手を強く握り返してくれた。
Fin.
Lento.
最初のコメントを投稿しよう!