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考えた俺は、次の行動に出た。
――ババァを入院させてやる。
夜中の三時。ババァは必ずトイレに行くんだ。
そこを棒で狙って転ばせる。
今思い起こすと、知恵も備わっていなかったな。
下手したら殺人だ。
月明かりしかないトイレ脇の廊下に、息を潜めてババァが来るのをじっと待つ。
ペタペタとした足音が。
――ババァだ。
そおっとしゃがみ込み棒を仕掛ける。
ペタ、ペタ…………ペタ。
足音が止まった?
『――泥棒っっっ!』
信じられない音量で叫ぶババァ。その声の大きさに驚く俺。
「ち、違っ……」
次の瞬間、月明かりに照らされたのは、ババァのカカト落とし。
――ドカッ!
右首の付け根にクリーンヒット。
あまりの痛さにうずくまり、頭を下げた所に膝の追撃が。
俺は九十近いババァに負けた。
足腰が悪いやつが、カカト落としなんか出来るかっ!
この日、心を折られた俺は、ババァに抵抗することを諦めたんだ。
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