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それから、数日―――。
土方は蘭丸に今の情勢、今までの信長の軌跡を学んだ。
そこで信長の変人ぶりと、凄さを改めて思い知る。
蘭丸が信長を崇拝していることを差し引いても、小国に過ぎなかった尾張をここまで率いてきた信長の手腕は、さすがの土方も認めざるを得なかった。
そしてそんな中、以前に明智が言っていた話もこれの事では、と目星がついた。
比叡山延暦寺の焼き討ちである。
土方の脳裏には西本願寺に屯所を移転させようとした自分と、それを反対した山南の姿が重なる。
ふと黙り込んだ土方に、蘭丸は弁解するように言った。
「お館様は確かにやり方は荒っぽいが考えがないわけではないのだ」
その言葉に、思わず土方が笑みをこぼす。
憤慨する山南を同じように宥めたのは沖田だった。
つくづく似てやがる…
ただ腹が立ったという理由だけでない、信長の真意がわかってしまった気がした。
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