鬼が戦った日

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―――――土方と信長が鬼ごっこを繰り広げている頃…。 しん…と静まり返った宴の場では、光秀が顔を俯かせてわずかに肩を震わせていた。 声をかける者はいない。 折檻した蘭丸はとにかくこの居心地の悪さにまだ幼さの残る美しい顔を歪ませて立ち尽くすのみ。 やがて見ていられなくなった家康が蘭丸の手から扇子をやんわりと取り除く。 「三河様…」 「蘭丸、来たばかりで悪いが酒宴はこのあたりでお開きにしよう。 皆さんも宜しいか?」 振り返り武将を見回す家康。 反対の意を唱える者は誰もいない。 うんうんと頷きを見せる中、光秀がようやく真一文字に結んだ口を紐解いた。 「いえ…皆様、お見苦しいところをお見せ致しました。 久方ぶりに訪れた宴の場でございまする。 どうかこのままごゆるりとおくつろぎ下さいませ」
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