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光秀と別れた数刻の後、信長が胡瓜片手にやってきた。
沢庵を探したがなかったから代わりだと笑顔を見せる信長。
水で洗っただけの胡瓜はまだ時期が早いのだろう、小ぶりだったが、みずみずしくうまい。
塩を降って丸かじりしながら、土方は確認するように問うた。
「で?伝令は何と言って来たんだ?」
「ん?ああ、猿から援軍を寄越せと言ってきたんだ。
まぁ想定内だな」
「出すのか?」
「気に入らんがな。
敗北は今の勢いを削ぐだけだ。
猿もなかなかの策士な奴よ。
それを見越して援軍の要請をしてきたのだからな」
何が面白いのか肩を揺らす信長。
くい、とすっかりぬるくなった茶を飲み、信長はまた一つ胡瓜を頬張る。
パリ、ポリ、と小気味よい音を奏でながら、視線を土方に向けると、土方はしばし逡巡した後に口を開いた。
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