鬼が戦った日

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自分用に持ってきた提灯を左手に持ち、光秀は城に向かって深く、深く頭を下げる。 誰が見ているからではい。 ただ、世話になった信長に、昔馴染みの帰蝶に、その想いを口にしたのだ。 「ありがとう存じまする…っ」 「どういたしまして? ………ふふ、光秀ったら独り言にしては大きな声ね」 本丸に向けて礼をした光秀だったが、間違える筈のないその声に驚きを隠せない。
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