鬼が嘆いた日

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朝廷からの使者は信長に対し、役職を与えたいと言ってきていたのだ。 戦乱の世と言えど、天皇はやはり神の子孫であり、信長の自称と違い、誰しもが認める現人神である。 その朝廷は、滅びぬように有力武将に今や形ばかりの役職を与え、朝廷の地位を確固たるものにしたいのだ。 信長の功績…暴挙とも言える天下取りの様子を知った朝廷は、さんざん見下していた信長に縋ってきた。 そしてそれを有り難く受け取るだろうと信じて疑わない朝廷に嫌気がさしていた信長は、少しばかり懲らしめようと思っているらしい。 とはいえ信長は朝廷や天皇が嫌いな訳ではない。 理由は定かではないが、そこに土方にさえ教えない本心が隠れているのだろう。 だから土方は何も言わなかった。 それに… もう時は迫っているのだから。
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