鬼が嘆いた日

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口では断るものの体は正直で、導かれるままうつ伏せになる。 チラッと視線をやれば、大胆にも太腿をあらわにした月姫が自分に跨がってきた。 さ、誘ってるとしか思えねぇ…っ! 月姫は男勝りな故か、たまにこういうことをさらりとやってのける。 土方はプルプルと拳を握りしめ、ただ耐えた。 労ってくれてるのだと何度も自分に言い聞かせ、目を閉じる。 そんな理性とのせめぎ合いをしてることなどつゆ知らず、月姫は土方の首、肩、背中と押していく。 ………体が固い…疲れてるのね… それでも私に会いに来てくれたのだわ… どうしようもなく嬉しくて、少しでも疲れを癒やしてやろうと、月姫は力を込めた。 ―――耐えてる間にいつの間にか寝てしまったらしい。 ぽかりと目を覚ました土方は体に重みがないことに気付いた。 「月姫―――っ!?」 はっとして上体を起こすと、横にいた月姫が返事をする。
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