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「よく眠っていたから起こさないようにしてたんだけど…」
言いながら頬を染める月姫。
その視線の先を見やれば、月姫の着物の裾をしっかりと握りしめる己の手。
どうやら離れようとした時に掴んだらしかった。
まるで母を求める子のようだと恥ずかしさに土方は顔をうずめた。
「悪い…」
「謝らないで。私は嬉しいのだから」
「どれくらい寝てた?」
「えっと…一時くらいかな?
あ、そういえばさっき信長様が参られたわ」
「信長が?」
「ええ…何故だか笑いながら襖を閉められてしまったけれど」
意地の悪そうな笑みを浮かべてたに違いない。
ありありとその表情が浮かび、土方は額に手を当ててうなだれた。
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