鬼が嘆いた日

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それを引き留めたくて腕を伸ばそうとした時、光秀の歩みがぴたりと止まった。 『ありがとう、土方どの』 ………え? 出鼻をくじかれたその礼を述べる言葉は、伸ばしかけた腕をも止めた。 微笑みをたたえた光秀は、そのまま闇に溶けていく。 茫然自失に見送るしか出来ない己を、土方は叱咤したが…体は動かなかった。 決意を宿した目に臆した訳じゃない。 ただ…全てを悟ったようなその表情を見て… 運命は変わらないよ。 そう突きつけられた気がした…。
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