鬼が嘆いた日

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「めったに出ぬものが出るは吉報だ! お蘭!これは俺の寝間に持っていけ!」 そう蘭丸に命じると、信長は笑いながら広間を後にした。 蘭丸も碁石を崩さぬようにそうと碁盤を持ち上げ、その後を追う。 残された坊主はにじみ出ていた汗を拭い、黙りこくる土方に苦笑をみせた。 「それじゃ、儂もそろそろ寝るとしようかの…」 よっこいせ、と腰を上げる坊主は独り言のようにつぶやいた。 「坊主」 「ん?」 「悪いこたぁ言わねえ。 今すぐここを出て行け」 「………何じゃと?」 土方の言葉に訝しげに眉を寄せる坊主。 土方は続けた。
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