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思わず立ち上がった土方を制し、信長は窓の外に目を見やる。
「確かに…急がねばならんようだ」
そう言うが早いか、信長は土方を押しのけて勢い良く障子を開け放つ。
「誰ぞ!誰ぞおらんか!」
夜半の信長の呼びつけに、一番最初に来たのは弥助だった。
ようやく逃げる気になったかと安心した土方だったが、その安堵はすぐに破られる。
「弥助!女たちを全員集め、東へ向かえ!」
「ヒガシ?」
「日が昇る方だ!
行けばわかる!貴様はそのまま戻って来るな!」
「チョッ―「いいから早くせい!」
意味もわからず混乱する弥助を一喝し、信長は蹴りと共に弥助を送り出す。
土方はまさか!と信長が覗いていた窓の外に目をやった。
暗い闇に見えるはいくつかの炎。
それが誰のものか―――考えるまでもない。
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