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その時。
「お館様!お館様!!」
と緊迫感をあらわにした蘭丸が駆け込んで来た。
「火急にございまするっ!」
その先は聞かなくてもわかる。
「謀反にございまするっ!
旗は明智様…いえ、明智光秀にございます!」
―――遅かった…!
土方はやり場のない思いをぶつけるように唇を噛み締めた。
「そうか…光秀が…。
蘭丸!是非に及ばず!上意なり!
天下の信長に弓引くは愚かだと見せつけい!」
気迫をみなぎらせた信長の言葉に、蘭丸ははっ!と返事するとすぐに踵を返し走り去る。
信長もすぐに部屋に戻ると、かけてあった長槍片手に大声を上げた。
「何を呆けている!!歳!」
鼓膜を震わす声に、びくりと土方が我を取り戻す。
悔いる暇も、責める暇もない。
気付けば静かだった夜は、喧騒にまみれていた。
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