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残念ながら悪者にしか見えないその姿に、土方はため息をついた。
「何だぁ歳!
何か言いたいことがあるなら言え!」
「言ったって聞かねえ野郎が何言ってやがる!
てめぇは本当に…大馬鹿野郎だ!」
何もかも、計算通りにいきやしない。
だが、それこそが信長のように思え、今まさに敵を目の前にしたこの時、あれやこれやと考えていた自分を笑いたくなる。
静寂はとうの昔にぶち破られ、神聖なる寺には血と、雄叫びと、金属音が舞う。
なだれ込むように突入してきた鎧姿の敵たちは、信長を討つ為に―というよりは血に興奮しついるように見えた。
対するわずか百名あまりの兵たちは寝起きを奇襲された割には統率されたいい動きを見せている。
さすが、信長についてきた武士たちである。
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