鬼が嘆いた日

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「熱いわ!たわけが!」 「当たり前だっ!」 火に文句を言い放つ信長に、心からの突っ込みを入れる。 信長は土方に気付いてなかったようで、ぶすぶすと焦げてすすだらけになった着物をはたきながらふと振り返った。 途端に花が咲くように笑った。 「歳!生きていたか!」 「今更かよ…ま、無事落ち合えて良かった…。 ここどこだかわかるか?」 「さて…見たところ物置にしていた部屋だな。 ほれ、そこらに首のもげた仏があるだろう」 示した先には確かに仏像の頭がもげて転がっていた。 「………御利益のかけらもねぇな」 「所詮は像だからな。 それより俺のような現の神に祈った方が御利益があるぞ」 んな事ばっか言ってっから罰当たったんじゃねぇか? あえてそんな事は口に出さないでおく土方。
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