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1))
身体がまるで石になったみてぇだ…。
真っ暗な中、土方はゆっくりと目を開けようとした。
自分が寝てるのか、起きてるのかわからないほどの闇の中。
目を開けても閉じても変わらぬ景色に、土方はどんどん飲み込まれてゆく。
そこに白い手がスゥッと出てきた。
―――お迎えってやつか…。
わかっているように土方はその手を見た。
だが、その手は動かない土方の手ではなく、襟を掴む。
―――手荒い迎えだな…
グイッと引っ張られ、土方は白い腕に抵抗する事なく引き上げられていく。
―――土方くん、いい加減に動いてくれないかな
優しい声色が囁きのように土方の耳に届く。
その声の持ち主を、土方は一人しか知らない。
―――山南さん!
―――いつまでここにいる気だい?
―――んな事言ったって、体が動かねえんだよ…
これは夢だと思った土方は、咎めるような山南の物言いに苦笑する。
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