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―――では何故その唇は動いてるんだい?
その台詞にハッとした土方は、指を動かしてみる。
すると先程まで動かなかった筈の体は難なく動いた。
―――さて、私はここまでだ。
土方が自分の足で立ち上がるのを見届けると山南らしき腕は、土方の襟をやんわりと放すと、闇に溶けていく。
―――ま、待ってくれ、山南さん!
―――君があそこに行ったのは私のせいじゃないよ。
まぁしいて言うなら神の悪戯だろうね。
腕はもう見えないが、声だけは聞こえる。
土方は手探りで山南の姿を探そうとするが、闇の中に山南の姿を捉えることはできない。
―――行かないでくれ、山南さん!
―――鬼の副長が、情けないね。
さぁ、早く戻りなさい。
君の生きる場所へ…。
―――俺は…死んだんじゃないのか?
―――残念ながら。
―――ははっ何だよそりゃぁ
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