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死んで欲しかったのか?と聞けば、声はそれも楽しいかもね、と軽口を返してくる。
それはやはり山南そのもので、土方はもう少しだけ、この夢の中にいたいと願った。
―――君に私の姿が見えた時、その時はたくさん話をしよう、土方くん。
だから今は戻りなさい。
とん…と、誰かに背中を押されたような気がした。
まだまだ言いたいことも、言われたいこともたくさんあったが、土方は足を踏み出す。
後ろが妙に温かいような気がして、二人で戦った日を思い出した。
やけに安心する温もりに、何故かホロリと涙がこぼれる。
土方は歩き続けた。
遠くに見えた、光に向かって…
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