鬼が――た日

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2)) ゆっくりと目を開くと、目の前には懐かしい顔があった。 それは土方を見るなり大きく目を見開き、パクパクと口を動かした後、びちゃっと言う音と共に視界から消えた。 「ぶっ」 「近藤さんっ近藤さーんっ土方さんが目を覚ましましたよ!」 叫びながらバタバタと出ていったのは沖田。 びちゃっとした正体は水に浸った手拭いだった。 「てんめぇ~総司ぃっ!」 びしょびしょに濡れた手拭いを思わず開けっ放しの障子にぶん投げる。 びしゃっと断末魔を上げた手拭いは無残に廊下に広がった。 そこにドカドカと騒がしい足音が聞こえてきたかと思うと、ドタァンッと激しい音が加わる。 上体を上げて音のした方を見れば、やはり懐かしい男が廊下に倒れていた。
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