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一人になった土方はゆっくりと半身を起こし、周囲を見渡す。
隅に置かれた文机。
枕元の大小の刀。
かけられた一張羅。
乱雑に積まれた本。
全てが懐かしく見慣れたもの。
間違いなく己の生きていた場所だった。
「―――夢だったのか?」
ぽつりと呟き、土方は顔を覆う。
こんなにまざまざと思い出せるのに…
信長はどうなった?
蘭丸は?
月姫は?
考えたところで何もわかる訳がない。
ただ混乱するばかりだ。
ここにいるという、現実だけが土方が理解出来ることだった。
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