鬼が――た日

8/14

418人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
一人になった土方はゆっくりと半身を起こし、周囲を見渡す。 隅に置かれた文机。 枕元の大小の刀。 かけられた一張羅。 乱雑に積まれた本。 全てが懐かしく見慣れたもの。 間違いなく己の生きていた場所だった。 「―――夢だったのか?」 ぽつりと呟き、土方は顔を覆う。 こんなにまざまざと思い出せるのに… 信長はどうなった? 蘭丸は? 月姫は? 考えたところで何もわかる訳がない。 ただ混乱するばかりだ。 ここにいるという、現実だけが土方が理解出来ることだった。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

418人が本棚に入れています
本棚に追加