西行き電気鉄道車八両目

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それから何分たっただろうか。 何処かの途中駅に停まったとき、俺のすぐそばの扉から、人が数人乗って来る気配がした。 すっと目を細く開き見る。 どうやら、大学生くらいの男三人組のようだ。 視線を上げれば、停車駅のたしか、この駅から何処かの大学のスクールバスが出ていたっけか。 三人組は俺の目の前の席に向かい合って座ると、談笑を始める。 イヤホン越しに聞くかぎり、どうやら怪談話のようだ。 誰々が幽霊を見ただとか、噂の廃病院に行ってきただとか、話を聞く限りでは眉唾なものばかり。 「オレが高校生の頃に、ダチと4人で山奥の廃墟に行ってさぁ」 俺から見て、左側の青年が語りはじめた。 その時の様子を身振り手振りで表現する青年の顔には、確かに畏怖の念が込められていた。作り話の類いではないのだろう。 だが、この手の話は大概が作り話か、当人の誤解や勘違いからくるものが殆どだ。 よくある心霊映像も現代の技術をもってすれば作ることは造作もないことであるだろうし、何より俺自身が信じていない。 …すれているのだろうか。
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