第一夜 出会いと夏休み

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「間にあったー。マジ疲れたー。ったく、お前のせいだからな。」 「わりぃ、わりぃ」 「ホントに思ってんのか?」 「思ってる、思ってる」 ここは俺達が通う堂本高校の2階、奥から2番目の1年B組の教室だ。 「惜しかったわね。菊地君、宮本君。今日遅刻したら一週間連続の遅刻で1ヶ月トイレ掃除だったのにー」 「へ、残念だったな灯。俺達にトイレ掃除させられなくてよぉ」 「あら、別にそんなつもりで言ったんじゃないわよ」 「ふん、どうだかな」  始まった。この1年B組口合戦はほとんど毎日行われている。最初のうちは誰かが仲裁に入っていたのだが、今では誰も止めに入らなくなり、B組の名物と化している。それにしてもよくコイツらこんなにポンポン言葉が出てくるよな。    キーンコーンカーンコーン 「ちっ、チャイムがなっちまった。今回はここまでにしといてやるぜ」 「それはコッチのせりふよ」    ガラガラガラ 「起立、礼、着席」  先生が入って来ると学級委員長の灯が号令をかけた。灯はこの前のクラスでの学級委員投票でダントツの一位で委員長になった。(まあ、灯は明るくて元気でみんなに優しくてカワイイから、女子にも男子にも人気があるからなぁ。いろんな意味で。)
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