第一夜 出会いと夏休み

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「今見える星達は何万光年、何億光年の時を超えてこの地球にいる俺達に光を届けてるんだぜ。だから地球に光が届くころには、もう消滅している星があるかも知れないんだ。」 「それ、ホントなのか」 「ホントだって、少しは俺の事信じろよ」 「宮本君がいつもホントの事言わないから疑われるんじゃないの?」 「おいおい、灯まで俺のこと信じてないのかよ?」 「うん」 即答だった。灯ってけっこう言い切っちゃうんだよな。 「これでも将来は天文学者目指してるんだ。星に関してはウソは言わん」 星に関してだけかよ。それにしても宮本が天文学者目指してるなんて意外だ。てっきりお笑い芸人にでもなるのかと思ってた。 「ふーん」  灯の方を見ると、それほど驚いてはいなかった。(たぶん灯も自分の夢をもっているからなんだと思う。) こうして俺達は天体観測を楽しんだ。天文学の話や、学校の話くだらない話などいろいろなことを時間が過ぎるのを忘れて語り合った。言いたいことを全部言ったせいか、体が軽くなった気がした。
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