最終章

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「おーーい、 佐倉!! なにチンタラ歩いてんだよ!」 西河先生が私を呼ぶ。 先生ーーー 口は悪いけど、本当は私たちのことを誰より気にしてくれていた。 言葉にしたことはないけれど、すごくすごく、感謝してる。 先生がいなかったら、もしかしたら私たちはいつまでもすれ違ったままだったかもしれない。 心の底から……ありがとう。って、伝えたい。 「あはは、遥香。 まだ飲む前から酔っ払ってるわけじゃないでしょ? なんか顔が赤いよ?」 柚希は……こんな私に、驚きの告白をしてくれたよね。 ビックリしたけど、本当に嫌なんかじゃなかったんだよ。 性別という枠を超えて、大好きで尊敬できる存在。 いつまでもずっと、変わらず親友でいて欲しい。 それから、柚希自身も幸せであって欲しい。 強くて明るい柚希が、私は昔から大好きだから。 そしてーーー 「ーー遥香!」 私の元まで戻ってきて、顔を覗き込まれた。 「顔ってゆーか、目が赤くない? 泣いてんの?」 愛嬌のあるクリクリした瞳は、いつでも私を逃さない。 「……大丈夫。 ちょっと、幸せすぎて感動して……」 「へ!? なにそれ? ……えーと?」 ちょっと戸惑いながら、私の右手を優しく握り締めた。
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