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前方に、男子中学生の後ろ姿。
肩に掛けるはずの鞄を、手持ち部分に両腕を引っ掛けて、まるでリュックのように背中に回している。
のんびり、のんびり、歩くのが異常に遅いのは、多分携帯を触りながらだから。
シャツの大部分がズボンからはみ出ていて、ちょっぴりだらしない……というか、最近の男の子ってみんなこうなのかな。
他にはなにも考えず、ぼーっとしながらその後ろ姿を見つめる。
……それにしても、ゆっくり歩きすぎだし、道の真ん中だから少し邪魔なんだけどな。
思わず歩調を早め、その男の子の横を通りすぎようとした。
「……うわっ、ゲームオーバーじゃん!!」
すぐ真横まで来たとき、急に彼が出した大きな声に、身体全体がびくっとした。
「あ」
思わず顔を向けると、短い言葉を発しながら男の子は私の顔をくいいるように見つめた。
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