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……同じ方向に向かってるってことは、彼も駅に行くんだよね。 じゃあ、家はこの近くじゃないんだ。 急ぎ足で歩きながら、振り返らずに彼の気配を背中で探す。 でも、あの遅い歩調じゃ、もう相当引き離しちゃったかも。 もう一度顔を見たい気もするけど、あの挨拶だけで精一杯。 今さら戻るのも、挙動不審にもほどがあるから絶対にできないし……。 50メートルほど進んだところで、タッタッと、後ろから誰かが走ってくる足音がした。 また、野球部員かな。 毎日毎日、精が出るよね。 うちのテニス部も走ってるけど、学校の周りを一周するだけだから全然楽チン。 これから暑い夏がくるけど、きっと同じように走るんだろうな。 本当、野球部の子たちって、偉いなぁ。
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