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傘をさしながら校門を出て、携帯を耳に当てた。 朝よりは小雨になってきたものの、まだ青空は見えない。 呼び出し音が一回鳴ってすぐに、 『あ、遥香? なんだよー、遅かったじゃん!』 聞き慣れたいつもの身勝手な声。 「あのねぇ……これでも急いだの! 今どこ?」 まさか本当に校門前に来ていないかとキョロキョロしてみたけれど、辺りには穂高くんの姿はない。 『ここだよ。 ここ。 ほら、わかるっしょ!?』 「え?」 ここ? ……ってどこ? 『だから、ここだって!』 「全然わかんないよ!」 『ほら、前に……うおっ!! 雨漏りしてるし!! 古い建物はやっぱダメだなー。 場所変えるか……』 雨漏り? 古い建物? …………って、まさか!! 「ちょっと待った! すぐ行くから勝手に出てきたりしないでよ!?」 大慌てで再び校門をくぐる。 足元の水溜まりが跳ねるのも気にせず、ダッシュで校庭とは逆側の校舎の裏手にまわった。 ああもう、信じられない! ここ、女子高だっていうことわかってるのかな!? 心の中で文句を言いながら、立て付けの悪くなった旧校舎の扉に手をかけ、周りに気づかれないようそっと開いた。
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