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「弟~♪
ん~、じゅばっ♪」
朝起きて早々、姉が投げキッスをしてきた。
「いらん」
当然手で払い除けた。
「あらひどい♪
でもそんな冷たい弟もあたしは大好きよ♪
いえ、愛していると言ってもまだ足りないわ♪」
「ダイビーング♪」と言って人の布団に潜り込もうとする姉を蹴り倒して、リビングへと向かう。
「キカオタ、おはよう」
いつもの如く、朝っぱらから教育番組にご執心な我が弟君の反応はない。
「今日の♪
ご飯は♪
塩鯖と大根のお味噌汁でーす♪」
「いただきます」
いつもは変態ちっくな姉だが、数少ない取り柄の一つが料理であった。
「今日も美味しかった。
ご馳走さま」
食べ終わり、手を合わせる。
それまでの間、ずっと見つめ続ける姉は、始終笑顔であった。
その後、俺が洗い物を済まし、その間に姉は弟を見つめて、姉曰く朝の弟ちゃんエネルギーを摂取しているらしかった。
「姉貴~、準備できたぞ」
玄関で靴を履き、家の中に叫ぶ。
「待って待って♪
弟ちゃん、いってきます♪」
「キカオタ、いってくるわ」
「…あぃ」
リビングからぼそりと聞こえた言葉を背に今日も今日とて高校へ向かう。
隙あらば腕を組もうとする姉を警戒しながら思うことはただひとつ。
(今日は平穏に過ごせますように…)
そう思いながら、腕を組もうと手を伸ばしてきた姉の額をチョップした。
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