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「置いてくな、俺も一緒に食べるよ」
姉と二人で屋上に向かっている最中に、後ろから声をかけてきたのは、暇を持て余す金魚のフン、田嶋だった。
「ひでぇ説明すんな!!」
「なっ!?
いつの間に姉と同じ読心術を…。
そこまで俺を愛したとしても、お前の愛にはこた…」
「答えなくていいよ!
っていうか、さっきのお前の心のナレーションはだだ漏れだ!」
「弟のこと好きなんて、あたしたち同じ穴のむじなだね♪」
「お姉様と一緒なのはめっちゃ嬉しいけど、残念ながら俺はこいつを気に入っちゃいますが、好いてはないです、マジで!」
「あはっ♪
面白い彼氏が出来て弟も良かったね♪」
屋上への階段最後の一段を上り、くるりと振り返った姉の笑顔は女神のように神々しく見惚れると同時に、話の内容にどうしたものかと肩を落とさざるをえなかった。
「とりあえず姉貴…、彼氏じゃないから」
誤解を解くのは容易ではなさそうだ。
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