桃太郎

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幸いにも、流れ着いた島こそが鬼ヶ島だということが、辺りを見回りに行っていた犬のおかげでわかりました。 鬼の巣の場所も犬が調べてくれていました。 桃太郎は思います「自分は足を引っ張っているだけではないか」 と。 「いや、それどころか自分が鬼退治に行くと言ったために二人の命が失われてしまった」と…… そんな桃太郎の胸の内を察したのか、犬は「二人……私も貴方に感謝しています」と言いました。 桃太郎は驚きましたが、同時に「どうしてだ」と犬に問います。 「私達は皆、鬼に家族や大切なものを奪われたのです。鬼に復讐する……貴方がその機会をくださったのです」犬は立ち止まり桃太郎の顔を真っ直ぐに見て、そしてまたすぐ歩き出しました。
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